ひつじ

nogisumiko2011-11-01


去年の夏 ひつじは原美術館の中で行われた「BLANK_MUSEUM」というイベントで案内役をした
http://www.webdice.jp/blankmuseum/

14時〜20時の6時間 特にアクションを起こす訳でもなく 「時」と「場」の番人を務めた
ひつじは観客に混ざって音楽を楽しんだり ダンスや音楽や風景と溶け込んだりしながら
館内を自由にさんぽしていた
昼は蝉の声と固い陰 夜は虫の音と柔らかい空 そしてアートと緑に囲まれて ひつじは静かに喜んでいた

観に来た人達は20代〜30代が多かった様に思う 子連れの親子もちらほら見かけた
ひつじはあまり愛想の良い方ではないが こどもには弱いのだ
気まぐれに あらかじめ仕込んでおいた色とりどりの風船を差し出す事もあった
ある男の子が近寄ってきた時 右のポケットから水色の風船を取り出しもう一度しまって左のポケットから違う風船を取り出した
青色だった
その風船を目を丸くしていたその男の子にあげた
その時の事を「大事な時間」としてひつじは心にしまっておいた


つい先日幕を閉じた『おまえはどうなんだ?』展に ひとつ大きくなって5歳になったその男の子が来てくれた
その子の母親の「原美術館に行って風船をもらった」話を聞いて わたしの心の箱はすぐに開いた
うれしかった

用事があって 一度会場を離れたにも関わらず わざわざ戻って今回の『ひつじのさんぽ』を観てくれた
ひつじが人間に戻るには ちょっと時間が掛かるから「またね」と挨拶出来ずに親子は帰ってしまった
心残りだったけど ネットで繋がった「いまはすごい世の中だ」と いまさら新鮮に驚いた
そこで感想を頂いた
5歳の男の子は「「地球から宇宙へロケットへ行ったくらい面白かった。ほんとはあそこに泊りたかった。」と
父親に洪水のように報告してスッと眠りについた」と書いてあった
展覧会全体の事を言っているのだけれど これを読んでわたしは小躍りして「そうなんだよそうなんだよ」と頭を掻きむしって喜んだ
そして「のぎさんにもひつじにも また会いたい 次もたのしみにしています」そう添えられていた

この子の言葉で 今回の何もかもが救われた
わたしもひつじも 頑張れる

ありがとう

もちろん 観に来てくれた 全ての人に ありがとうを